10月3日に英国ドンカスターで開催されるPolaris 39で、高橋“Submission”雄己はシェイ・モンタギュー(Shay Montague)と空位のバンタム級王座を争う。

日本ではまだ名前を聞く機会が多くないモンタギューだが、2025年にはIBJJFノーギ世界選手権の黒帯ルースター級を制し、現在はスコットランドを代表する軽量級グラップラーの一人となっている。IBJJF公式ランキングでも2025年No-Giルースター級1位に位置している。IBJJF

2026年2月にはUFC BJJ 5のメインイベントでマイキー・ムスメシ(Mikey Musumeci)のバンタム級王座に挑戦。敗れはしたものの、IBJJFを中心にキャリアを築いてきたモンタギューにとって、プロ・グラップリングのトップレベルへ進出する大きな一戦となった。UFC Español

スコットランド北部から世界レベルへ

モンタギューは1998年、スコットランド北部に生まれ、NairnとFindhornという小さな沿岸の町で育った。もともとスポーツ少年だったわけではなく、BJJを始めるきっかけはUFCだった。BJJ Heroes

本人はIBJJFのインタビューで、MMAを見て格闘技に興味を持ったものの、近隣のMMAジムの写真を見て「怖そうだった」ため、代わりにBJJを始めたと振り返っている。IBJJF

初期にはInverness周辺でマーティン・ドナルドソン(Martin Donaldson)やケヴィン・マカルーン(Kevin McAloon)らの指導を受け、その後20歳でグラスゴーへ移住した。グラスゴーではThe Griphouseを練習拠点とし、さらにアイルランドのEast Coast Jiu-Jitsu Academyにも定期的に通い、ダラー・オコーネル(Darragh O’Conaill)の指導を受けるようになった。BJJ Heroes

IBJJFのインタビューでモンタギューは、アイルランドという大規模な柔術拠点ではない場所から世界レベルの選手を育てたオコーネルを称え、自身もスコットランドで同じようなコミュニティを作りたいと語っている。IBJJF

色帯時代からIBJJFで結果を残す

モンタギューは黒帯になる以前からIBJJFで結果を残していた。

2022年には茶帯のルースター級でヨーロピアン、パン、ブラジレイロを制覇。ワールドでは準決勝でレノー・ニワ(Reno Niwa)に敗れ3位となったが、翌2023年にはワールドでも優勝。決勝では残り約10秒の時点で0-2とリードされていたところからバックを奪い、逆転で優勝している。この時期にはIBJJFのランキングで、GiとNo-Giの両方で茶帯ルースター級1位となった。The Griphouse

2023年6月にはオコーネルから黒帯を授与された。

2024年にはWNOにてベイビーシャークに挑戦。アナコンダチョークで一本負けを喫している。

2025年、黒帯でNo-Gi世界王者に

モンタギューの黒帯での最大の実績は、2025年のIBJJFノーギ世界選手権だ。

モンタギューはルースター級で優勝し、同年のヨーロピアン・ノーギも制覇。IBJJF公式ランキングでは2025年ノーギルースター級1位となっている。IBJJF

Jits Magazineは、この優勝によってモンタギューがスコットランド人として初のIBJJF黒帯ノーギ世界王者になったと紹介している。Jitsmagazine.com

BJJ Heroesの記録では、キャリアの勝利の多くを一本で決めており、確認されている19勝のうち16勝がサブミッションとなっている。BJJ Heroes

独特なガードゲーム

モンタギュー自身は、自分のスタイルが一人の選手から作られたものではないと話している。

若い頃からメンデス兄弟、ミヤオ兄弟、そして橋本知之らの試合を大量に見て、それぞれのポジションを自分のゲームに取り入れてきたという。IBJJF

特に興味深いのは、強豪が集まる大規模アカデミーではなく、比較的小さな環境で育ったことを本人が自分のスタイル形成と結びつけている点だ。

決まった技術体系をそのまま教えられる環境ではなかったため、自分でポジションを試し、問題を解決する必要があった。それが柔軟性を使ったガードリテンションや、一般的ではないポジションを組み合わせる現在のスタイルにつながったと説明している。IBJJF

本人は、最初のコーチ、マーティン・ドナルドソンの強いプレッシャーパスに何度もガードを突破された経験から、「どうすれば止められるか」を考え続けたことが、自身の独特なガード形成につながったとも振り返っている。IBJJF

UFC BJJではマイキー・ムスメシに挑戦

No-Gi Worlds優勝後、モンタギューは2026年2月のUFC BJJ 5で、王者マイキー・ムスメシのバンタム級タイトルに挑戦した。

2人の試合は3時間経過頃のタイミングから。

モンタギューは本来ルースター級を主戦場としており、この試合では階級を上げて挑戦した。Jitsmagazine.com

結果はムスメシの足関節による一本負けとなったが、IBJJFルールを中心に戦ってきたモンタギューにとって、UFC BJJのプロ興行でタイトルに挑戦したことはキャリアの幅を広げる経験となった。

今回のPolaris 39では、再びタイトルを懸けた試合に臨むことになる。

高橋戦ではリバーストライアングルを予告

Polarisが公開した試合前映像で、モンタギューは高橋戦についてリバーストライアングルでフィニッシュすると予告している。

モンタギューはガードからの攻撃とサブミッション能力を強みとする一方、高橋もEBI王者としてサブミッションを積極的に狙うタイプだ。

そのためPolaris 39のバンタム級王座戦は、単純なポジション争いよりも、両者がどの局面からフィニッシュにつなげるかが重要になる。

高橋についてはEBI優勝、ONEでのジオゴ・ヘイズ戦などを経て今回の王座戦に進んでいるが、モンタギュー側も2025年のノーギワールド制覇、UFC BJJでのタイトル挑戦を経てこの試合を迎える。

10月3日、英国ドンカスターのThe Domeで開催されるPolaris 39。空位のバンタム級王座を巡り、日本のEBI王者とスコットランドのIBJJF No-Gi世界王者が対戦する。

情報源

[1] Shay Montague Interview: “Rooster Weight Is In Its Most Exciting Phase Ever” — IBJJF

[2] Shay Montague — BJJ Heroes

[3] Instructors: Shay Montague — The Griphouse

[4] Athlete Results: Shay Montague — IBJJF

[5] JitsCast #64: Shay Montague — Jits Magazine

[6] Official Weigh-In Results | UFC BJJ 5: Musumeci vs Montague — UFC

[7] Shay Montague is calling a reverse triangle finish — Can he pull it off against Yuki Takahashi? — Polaris

[8] Polaris 39 Official Trailer — Polaris Professional Grappling