マットに集う「意外とすごい人」たち - 柔術コミュニティの質の高さを考察する

マットに集う「意外とすごい人」たち - 柔術コミュニティの質の高さを考察する

柔術が持つ独自の特性と、コミュニティの質の謎に迫る

Akari

柔術、特にブラジリアン柔術と聞くと、どのようなイメージを抱くでしょうか。
多くの方が「格闘技」「激しいトレーニング」「体育会系の雰囲気」といった、どちらかというとフィジカル重視のイメージを持つかもしれません。
しかし、実際に柔術の道場に足を踏み入れると、そのイメージとの間に大きなギャップがあることに気づかされます。

柔術のコミュニティは驚くほど多様性に富んでいます。
特に、社会人になってから柔術を始める、いわゆる「マスター世代」の参加者が非常に多いのが特徴です。
そして、彼らの多くは、仕事でキャリアを積み、社会的な成功を収めている、あるいは専門分野で高い知見を持つ「すごい人」たちなのです。

すごい人いるよ!という雑な入りですみません。

本コラムでいう「すごい人」とは、単に社会的地位が高いというだけでなく、専門分野で成功している、知的好奇心が旺盛、多様なバックグラウンドを持つ、そして何より人間的に魅力があるといった要素を兼ね備えた人々を指します。
なぜ、柔術のマットには、そうした「すごい人」たちが集うのでしょうか。

 

柔術コミュニティの「すごい人」たちの実態

職業・社会的地位の多様性

私の知る柔術コミュニティでも、医師、弁護士、経営者、ITエンジニア、研究者、芸術家など、専門性の高い職業を持つ人の参加率が非常に高い印象を受けます。彼らが多忙なスケジュールを割いてまで柔術を選ぶ動機は多岐にわたります。

体力維持、ストレス解消

多忙な日常から離れ、純粋に身体を動かし、汗を流すことによる究極のリフレッシュ効果。マットの上での時間は、仕事のプレッシャーから完全に解放されます。

知的な戦略性

柔術が持つ「戦うチェス」とも称されるほどの奥深い戦略性。単なる腕力勝負ではなく、技術と頭脳の戦いです。

真の強さの追求

地位や肩書きが通用しないフラットな環境での自己成長。マットの上では誰もが一柔術家であり、その事実は精神的な謙虚さを育みます。

特に、頭を使う職業の人々が柔術に惹かれるのは、柔術が単なるフィジカルなスポーツではなく、戦略、状況判断、問題解決能力、論理的思考といった知的な側面を強く要求するからです。
相手の動きを読み、数手先を予測し、複数の選択肢の中から最適な手を選ぶプロセスは、将棋やチェスの思考回路、あるいはビジネス戦略の構築と驚くほど共通しています。

 

人間的魅力・多様なバックグラウンド

柔術の道場は、年齢、性別、国籍、価値観などが多様な人々が共に汗を流す、非常にインクルーシブな環境です。
特筆すべきは、マットの上では地位や肩書きが一切関係なくなるという点です。

普段は気を遣われるであろう経営者や専門職の方々も、道場では柔術の経験が長い帯上の人には謙虚に教えを請います。
このフラットな関係性は、普段の社会生活では得難い新鮮な経験であり、彼らにとって柔術の大きな魅力の一つとなっているはずです。
そして、マットを降りれば、彼らの持つ専門的な知識や経験は、道場の仲間にとってかけがえのない財産となります。

実際に私のいるジムでも、何か困りごとがあった際に声を上げると、トラブルの際は弁護士さん、税の相談は会計士さん、投資の情報交換、あるいは転職をしたいときには経営者や採用に携わったことのある役職者・キャリアアドバイザーの資格を持つ方に助けてもらった、といった具体的な事例は枚挙にいとまがありません。
共通の趣味という利害関係のないフラットな関係性が、普段の日々では出会えない「すごい人」同士を結びつけ、新たな価値と刺激を生み出しているのです。

 

コミュニティの質を支える柔術の特性

なぜ柔術が、このように質の高いコミュニティを育むのでしょうか。

紳士的なルールとエチケット

柔術の練習、特にスパーリングでは、相手に怪我をさせないための高いエチケットが求められます。
限界が来たら「タップアウト(負けを認める)」する概念や、スパーリング前後の礼儀など、自己規律と他者への配慮が徹底されています。
この紳士的な文化が、コミュニティ全体の成熟度を底上げしていると言えます。

継続性のハードルの高さと選別作用

柔術はすぐに上達しません。白帯から青帯に昇格するだけでも、一般的に数年を要します。
この難しさが、粘り強さ、謙虚さ、そして継続力がある人だけを自然と選別します。
寝技を長く続けている人は、既に他の分野でも成功体験や高い自己肯定感を持っている可能性が高いのです。
彼らが共通して持つ「継続して目標に向かう力」が、柔術コミュニティの核となっています。

謙虚さという魅力

柔術家の中には、自分のバックグラウンドを知ると驚くほど専門性が高い人が多いにもかかわらず、偉ぶらない謙虚な姿勢の人が多いのも特筆すべき魅力です。
マットの上で地位や肩書きが通用しない経験が、彼らの人間的な魅力をさらに磨き上げているのでしょう。

まとめ:コミュニティが与えるポジティブな影響

柔術という共通言語は、多様な背景を持つ「すごい人」同士を結びつけ、新たな価値観や刺激を受け合う場を提供しています。
格闘技好きというニッチな共通点も、仲間意識を深める上で大きな助けとなっています。

結論として、「柔術家は意外とすごい人が多い」のは、柔術が「すごい人」を育て、惹きつける特性を持っているからです。
知的な戦略性、謙虚さを重んじる武道文化、そして継続性が求められる性質が、専門性の高い、人間的にも魅力的な人々を引き寄せています。

動いてリフレッシュでき、技が磨けるだけでなく、人間としても強く、レベルアップできる柔術は、単なるスポーツ以上の価値を提供してくれます。
日々を過ごすだけでは出会えない人に出会い、フラットに仲良くなれるのも柔術の大きな魅力です。
あなたも柔術を始めることで、知的な刺激と、かけがえのないコミュニティを手に入れてみませんか。

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