社会人柔術家は減量して試合に出るべきか?

社会人柔術家は減量して試合に出るべきか?

Akari

平日の仕事終わりに道場へ駆け込み、休日は家族サービスをこなしながら柔術の練習に汗を流す社会人柔術家の皆さん!試合に出場すると決めたとき、一度は階級・減量について頭を悩ませたことがあるのではないでしょうか。

「減量して下の階級で出たほうが有利」「でも、仕事で疲れてるのに無理な減量なんて...」

友人や道場の仲間と話していても、人それぞれ異なる意見が出てきて、結局のところ、何が正解なのか分からなくなる。結論を先に言ってしまうと、残念ながらこの問いに明確な答えはありません。
なぜなら、減量するかどうかの選択は、あなたの柔術への向き合い方やライフスタイルによって、全く異なるからです。

ここでは、そんな社会人柔術家の皆さんが抱える「減量の悩み」について、メリット・デメリットを整理し、自分にとっての最適な選択肢を見つけるためのヒントをお伝えします。

なぜ社会人柔術家は減量に悩むのか?

柔術の試合に出場するときに、多くの選手が「減量」を検討します。
しかし、趣味で柔術を続けている社会人柔術家にとって、この減量という行為は本業柔術家・アスリートとは全く異なるお悩みがあると思います。想定されるお悩みは大きく3つというところでしょうか。

1. 仕事や生活習慣との両立が困難

圧倒的な時間的制約

仕事のスケジュール、残業、通勤時間、育児や家事など、社会人には柔術だけに集中できる時間が限られています。日々の練習時間を確保するだけでも大変な中で、さらに厳格な食事管理や、減量のためのトレーニング時間を捻出するのは至難の業です。

仕事上の付き合い

会社の飲み会や会食、接待など、食事をコントロールしにくい状況が頻繁に発生します。断り続けることで人間関係に支障をきたす可能性もあり、精神的なストレスにもつながります。

2. 疲労の蓄積とリカバリーの難しさ

仕事のストレスや日々のタスクに加え、柔術の練習による身体的な疲労が重なります。
減量のために食事量を減らすと、さらにエネルギー不足となり、練習の質が低下したり、風邪を引きやすくなるなど、体調を崩すリスクが高まってコンディションをベストに保つのが難しくなります。

3. 減量に対するモチベーションの維持が難しい

明確な目標の違い

プロや学生アスリートは「柔術で生計を立てる」「柔術で将来を決める」といった明確な目標があるため、減量に対するモチベーションを高く維持しやすい傾向にあります。
しかし、趣味として柔術を楽しむ社会人の場合、「何のためにこんなに辛い思いをしてまで減量するのか?」という根本的な疑問にぶつかることがあります。

試合の価値観

試合に出場すること自体が目的であり、勝敗は二の次と考えている人も少なくありません。その場合、過酷な減量をしてまで勝利にこだわる必要性を感じにくくなります。
また、「減量して階級を下げた方が有利」という柔術界の常識とのギャップにも悩まされます。

これらの理由から、社会人柔術家にとって減量は単なる体重調整ではなく、仕事やプライベートの生活全体に影響を及ぼす大きな決断となります。
そのため、安易に減量に踏み切るべきか否か、深く悩むこととなるのです。

減量のメリットとデメリット

減量をして下の階級で試合に臨むことには、もちろんメリットがあります。一番の利点は、体格面で有利になることです。
自分より小柄な相手と対戦することで、力負けするリスクを減らし、スピードや技術を活かしやすくなります。
また、減量という厳しい目標をクリアしたという事実は、試合への自信に繋がります。この自己管理能力は、試合本番での集中力や精神的な強さにも影響するでしょう。

しかし、デメリットも無視できません。無理な減量はパフォーマンスを低下させることがあります。
力が出ない、スタミナが持たない、集中力が続かないといった問題は、せっかくの練習の成果を台無しにしてしまいます。
さらに、体調を崩しやすくなり、仕事やプライベートにも支障をきたすリスクも。
減量による空腹感やストレスは、仕事のパフォーマンスを落とし、家族や友人との食事の時間を楽しめなくさせることもあります。

減量すべきかどうかの判断基準

では、あなたにとって減量は正しい選択なのでしょうか?結論から言えば、人によって正解は異なります。以下の3つのポイントを自問自答してみましょう。

  • 試合の目的は何か? 「何が何でも勝ちたい」という明確な目標があるなら、減量は有効な戦略です。しかし、「柔術の試合という雰囲気を楽しみたい」「経験を積みたい」といった目的であれば、無理な減量によるストレスは避けるべきかもしれません。
  • 減量幅はどれくらいか? 無理のない減量幅(例:2〜3kg程度)であれば、挑戦してみる価値はあるでしょう。しかし、5kg以上の減量を短期間で行うとなると、身体への負担が大きく、パフォーマンス低下のリスクが高まります。
  • 練習や日常生活に支障はないか? 減量によって練習の質が落ちたり、仕事や家庭生活に悪影響が出たりするようであれば、それは本末転倒です。柔術は人生を豊かにする趣味であり、試合はそのための手段であることを忘れてはいけません。

減量しないという選択肢

減量しないという選択は、決して「逃げ」ではありません。むしろ、それは自分自身の柔術との向き合い方を尊重する、賢明な選択と言えます。

減量しないことで、常にベストなコンディションで練習や試合に臨めます。余分なストレスや疲労がなく、柔術を心から楽しむことができます。
また、下の階級の選手と比べて体格で勝る相手と練習や試合をすることで、自分の弱点を補うためのフィジカルや技術を磨くことにも繋がります。

無理に体重を落とすのではなく、今の階級で戦うためのフィジカルやスタミナを強化したり、より精度の高いテクニックを身につけたりする。これもまた、柔術の成長を促す立派なアプローチです。

試合に向けて減量するかどうかは、自分のライフスタイルや柔術に取り組む目的をよく考えて決めるべきです。勝利を目指すことも素晴らしいですが、心身ともに健康な状態で柔術を長く楽しむことも同じくらい大切なことなのです。

柔術の試合、減量よりも大切なこと

私の場合は、ちょうど柔術着分の2kg減量すれば下の階級に出られるという状況でした。

人によると思いますが当時の私にとって2kg減量は絶妙に厳しいラインで飲み会を試合後に調整し、食事も節制して辛い思いをしました。旅行帰りに太ってしまい2週間で5kg無理やり落とすなども経験しました。

何度も階級を行ったり来たりするうちに、私は無理な減量をしてまで勝つことよりも、いつも通りのコンディションやメンタルで試合に臨むことや柔術を長く楽しく続けることの方が大切だと気づいたのです。最終的には、日頃から食事管理に気をつけ、無理のない範囲で「通常体重を落とす」という選択を取りました。
趣味柔術家がどうやって減量したかについては追ってご紹介できればと思っています。

まとめ|減量をするか否かは試合との向き合い方で選ぼう

減量するかどうかの選択は、本当に人それぞれです。
しかし、趣味として柔術を楽しむ社会人柔術家の皆さんには、基本的にナチュラル体重もしくは少しの減量幅で試合に出ることをおすすめしたいと思います。
柔術は、人生を豊かにしてくれる素晴らしい趣味です。
無理な減量で自分を追い込みすぎず、柔術を心から楽しめる「あなたにとってのベストな選択」をしてください!

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